スレッド作成 : 厨子直人さん
(1997/11/27 17:20:55)
PC-8001を市場に送り出し、PC-8801をその後継としてまた新機軸として発売し、そしてハイエンドマシンであるPC-9801における更なるハイエンドへのシフトは大成功をおさめたことはもはや疑いの余地はない。しかしながら、NECとしてはPC-9801を開発した時点で更なるハイエンドマシンを志向していたことは、PC-100、PC-98XAの発売からもわかる。PC-100は将来、ユーザーインターフェイスがGUIになることを予想した先見性の高いマシンであり、またマシンの開発はアスキーの西和彦社長が大きくかかわったというエピソードも有名である。PC-98XAにはついては雑誌「Hello!PC」'97年7月号にも触れられているとおり、98の名を冠しながらアーキテクチャの違うハイレゾマシンであった。いずれも時代が要請しているところのマシンではなく、商業的には完全に失敗した。先見性の高いマシンが商業的ニーズに合致せず消え去ることは割とよくある。アップル社なら「Lisa」などが有名だし、Macも最初の3年間は沈黙の時代だったといわれている。
ハイエンドに対する模索をする一方、エントリーマシンやポータブルマシンの提案を積極的に行ったのも当時のNEC戦略の特色の一つである。この頃には、PC-6001、PC-2001、PC-8201も展開している。PC-2001はカスタムCPUを採用したポケットコンピュータに近いマシンで、乾電池で割とまともに動き、そして電池寿命もまともなレベルで確保していた。何回か使用したが、当時としては割といいマシンであったと思うが、大した営業活動も行われていなかったのでほとんど売れていないと記憶している。PC-8201はCPUに8085を採用したマシンで、どちらかというとインテリジェント端末を志向した名機である。当時、PC-VANが実験運用中であったが、知人がこれに当時とても高価だったエプソンのモデムを接続して通信端末として使用していたのを記憶している。
ただ、時代はマシンの付加価値よりマシンの高速化を渇望していたと見られ、NECは主力機種の98シリーズにその命運をかけることになる。
互換機の登場
厨子直人 さんのコメント
(1997/11/27 17:21:32)
当時、プリンタメーカーとして名高かったエプソンが98互換機を発売し、市場は土肝を抜かされた。NECからV30の安定的供給は難しいと考えていたエプソンは発売されたばかりの80286を採用し、V30を搭載する9801VMを基調とする互換機を発表したのだ。これに対し、NECは互換性能について著作権を侵害していると猛反発し、間もなく法廷論争に持ち込まれた。エプソンは搭載しているROMのプログラムリストをNECで調査してもらうなどという対応に出たが、その上で著作権侵害と通告されている。エプソン側はBIOSに関しては著作権を侵害する可能性がないという自信はあったが、BASIC-ROMに関してはみかけ上、アーキテクチャ依存性が非常に高く、著作権論争に勝てる自信がないとして、急遽、BASIC-ROMの搭載をやめて販売に踏み切ることになった。ただ、実際には市場はBIOSのみを使用したMS-DOSベースのソフトに移行しつつあり、BASIC-ROMに依存するアプリケーションは少なくなる一方であったため、互換性能に関しては体制に影響がなかった。
NECは係争を続けていくメリットを見いだせず、エプソンとの和解が成立した。この時、合意したのはVM互換であるということだ。
PC-286の衝撃
厨子直人 さんのコメント
(1997/11/27 17:22:01)
BIOSレベルでの互換性を確保したエプソンPC-286は、VMのほぼ倍速という圧倒的な処理能力によって多くのユーザーに支持を受けることになる。5インチベイを4つ確保し、拡張性が豊かだったことからヘビーユーザーにも歓迎された。間もなく、PC-286Vという普及機を発表しベストセラーとなる。
VMは先にも書いた通り、CPUにV30を搭載している。V30は8086とピン互換で便利な拡張命令を搭載したうえで、3割程度処理性能を高めたNECのオリジナルCPUである。余談だがV30が出た当時は8ビットCPUである8080に対する需要がわずかながら残っていたため、8080エミュレーションモードというモードも搭載していた。インテルがこれを黙って見逃すわけもなく、アドレスバスとデータバスを分離しV30のほぼ倍速とし、新しいアーキテクチャであるプロテクトモードを搭載した80286を世に出した。NECもこの80286を採用したマシン9801VXを出したが、ここでおもしろい事態となったのだ。
V30と80286の関係であるが、80286はV30の上位互換ではない。V30の8080エミュレーションモードは論外としても、NECのオリジナル命令が80286では動作しない。そのため、9801VXではV30と80286の両方を搭載し、ディップスイッチでどちらのCPUを使用するかを決定した。NECらしいやり方である。ところが、V30をもとより搭載しないPC-286Vでは常時80286で駆動し、V30の特殊命令だけソフトウェアエミュレーションさせていた。このため、VXではV30モードでなければ動作しないソフトも、PC-286Vにおいては80286で駆動させることが可能となったため、処理速度面では大きく有利な立場に立つことになった。動作モードの切り替えに関してはSW3-8と聞けばピンと来る人もいるだろう。
ソフトウェアプロテクト
厨子直人 さんのコメント
(1997/11/27 17:22:23)
ところが、NECはソフトの自社供給を認めず、MS-DOSなどの主要なソフトにエプソンでは動作しないソフトウェアプロテクトをかけた。今では考えられない出来事である。エプソンはMS-DOSなどのOSを中心にオリジナル品を供給する一方、ソフトウェアプロテクトをユーザーの責任において解除するプログラムをマシンに添付した。エプソンユーザーなら聞いたことがあると思うが、SIP(ソフトウェア・インストレーション・プロテクト)のことである。エプソンもただでは起きないぞ。
EGC
厨子直人 さんのコメント
(1997/11/27 17:22:48)
NECはVXからEGCと呼ばれるグラフィックアクセラレータを搭載しはじめた。エプソンには供給されなかったのだが、これを実際に使用するソフトは大変少なかったため、大勢に影響はなかったが、それでもいくつかのゲームソフトにおいてEGC使用ソフトがあったため、エプソンマシンのオーナーであった私は何度か悔しい思いをしている。
Windowsとエプソンの互換機戦略
厨子直人 さんのコメント
(1997/11/27 17:23:11)
Windows 3.1からハードウェアとのソフトチューンアップが重要視されるようになり、BIOS互換では互換性がとれなくなってきた。この時点でエプソンは見切りをつけ、ハードウェアによる互換機生産を打ち切ることになり、PC/ATマシンにシフトしていった。ただ、ソフトウェアエミュレーションでMS-DOSベースの98ソフトを動作させるソフトを出荷しているのがエプソンらしいと言える。
98
?? さんのコメント
(2001/08/14 20:24:33)
98で誤ったのでは。
ソフトメーカーに配ってたのなら
N5200でよかったのでは
ならばLANも普及して
今ごろはNET天国のはず
C&Cとして大きな失態