機械の言葉に
心ときめいて 

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 PC-6001mkIIを持っていた頃、パソコン通信というのが話題になり始めて、雑誌とかでも「始めかた」みたいな記事がたくさん載りました。そして自分でもやりたくなって、とうとう弟に1万円借金して始めてしまいました。

 最近のパソコンには必ずRS-232Cがついていて、ものによってはモデムまで内蔵されていますが、PC-6001mkIIはRS-232Cすら別売りでした。また、当時はまだ音響カプラも現役で売っていたように思いますが、安いモデムが出てきたこともあって、ほとんどモデムが主流でした。

 ちなみに音響カプラというのは、長方形の箱に耳が2つついていて、そこに受話器をはめ込むことで、電話線とパソコンをつなぐ機械です。黒電話が主流だったころはそれでも良かったのですが、いろいろな電話機が出てくると、受話器のはまりが悪くなって使えないものが多くなってしまいました。また、その構造上高速通信には限界があります。モデムが主流になってきても、今で言う「モバイルコンピューティング」で公衆電話で使うためか、しばらくは売っていました。今でも売っていなくはないようですが、モジュラージャックが付いた公衆電話が増えてきましたし、消えてしまうことでしょう。

 さて、はじめはモデムホン(モデムの機能がついた電話機)をねらっていたのですが、かなり高かったのであきらめ、当時もっとも安かったアイワのモデムを購入しました。たしか29800円で、当時としてはダントツの安さだったと記憶してます。通信速度は300bpsの全二重と1200bpsの半二重で通信できました。最近のモデムで半二重なんてものは全くないようですね。当時も、300bps全二重が主流だったので、結局半二重は使いませんでした。モデムのほかは、RS-232Cユニットと、ターミナルソフトを買いました。

 RS-232Cをつけるには、本体カバーを開ける必要がありました。カートリッジスロットがあるためか、PC-6001mkIIには拡張スロットはありませんでした。もちろんパソコンを開けるなんて初めてで、壊したらどうしようとか思ってました。RS-232Cモジュールは、接続する前にモジュール上のスイッチで通信速度を設定しておく必要があったため、最近のパソコンのようにソフトで通信速度を変更するようなことはできませんでした。もちろん300bpsにセットしました。

 ターミナルソフトはPC-6001用のカートリッジソフトでした。ただ、mkII用があったとしても、たいして違いはなかったと思います。漢字も実用にならないし。

 ネットは、当時スタートしたばかりだったPC-VANに申し込みました。当時は全くのただでした。申し込みが殺到していたようで、IDが来るまでずいぶん待たされました。郵便事故かなにかだと思い、もう1通申し込んだところ、2つ登録されてしまいました。

 買ったモデムには電話をかける機能がなかったので、つなげるときは自分で電話をかけて、「ぴー」って音がしたら切り替えてログインする、という方法をとっていました。

 当時はまだank、つまり英数かなの半角文字だけで、全角の漢字とかを使えない人が主流だったので、漢字の使えないPC-6001mkIIでも大丈夫でした。ときどき全角で書き込む方がいて、それはもちろん文字化けして読めませんでした。全角文字が使える方でも、ankが主流だったために全角を使わずに、ankで書き込む方もたくさんいたと思いますが。

 ハードディスクなんて存在すら知らない、フロッピーディスクなんて高嶺の花、記憶装置はカセットテープが当たり前、そんな時代のパソコン通信に、「ログをとる」「オフラインで読み書きする」なんてことができるわけはありません。つまり、今で言う「オン読み・オン書き」が当たり前でした。しかも慣れないかな入力。ローマ字入力ができれば良かったのですが、PC-6001mkIIにもターミナルソフトにもその機能がありませんでした。そのため、どうしても1回の通信時間が長くなります。PC-VANはただだったので課金は平気なのですが、電話代がかかります。この当時でもやっぱり、パソコン通信に夢中になって電話代の請求書にひっくり返った、という話を聞いてましたから、通信したいのを我慢することもしばしばでした。

 電子掲示板で知り合った人とメールのやり取りなどもしていたのですが、自分の部屋にテレビを買ってPC-6001mkIIを持って行って電話機と遠くなったことや、高校入試、MSX2の購入などで、しだいに通信をやらなくなりました。PC-VANが有料化になったときに、その手続きはしましたけど、高校に入ってしばらくしてからは、全くやらなくなりました。

 再び通信を始めたのは、Windows95を買ってからですから、8年後くらいになります。




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