色の魔術師

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 FS-A1は本体とキーボードが一体型になったデザインの真っ黒いボディで、オレンジでロゴマークとかが描いてあります。RAM 64KB、VRAM 128KBでカートリッジスロットが2つついていました。上のカートリッジスロットはちょっと安っぽいかっこわるい、ぱかっと開く感じのカバーがついてました。コストダウンの影響を受けているのは今も昔も変わらずやっぱりキーボードで、かなり安っぽいキータッチだったと記憶しています。しかしMSXの低価格機には、通称「消しゴムキーボード」と呼ばれるゴムっぽいキートップを使っているものもあって、それに比べれば十分実用になる、値段の割には良いものだったかもしれません。なお、テンキーはありませんでした。

 MSX2はVRAMが64KBと128KBのタイプがあって、64KBだと使えない画面モードとかがありました。安い機種だとVRAM 64KBだったりカートリッジスロットが1つだったりしたのですが、A1もF1もこの値段で128KBの2スロットだったのも魅力でした。

 A1を買った後の春、SONYとPanasonicからこれまたそれまでとは比べものにならない位安い、MSX用のフロッピーディスクドライブが発売されました。2DDシングルドライブで4〜5万円くらいだったでしょうか。

 入学祝いをいただいてそこそこお金がありましたので、夏前だったでしょうか、A1を買ったお店でPanasonicのFDDを購入しました。

 メディアは近くのダイクマで買ったのですが、1枚450円くらいだったと記憶しています。3枚くらい買っておいたでしょうか。初めてのFDDということで、結構うきうきしてました。

 ところが。届いたFDDを接続(カートリッジを挿すだけ)しても、どうしてもFDDが使えるようになりませんでした。通常FDDを接続して立ち上げると、「MSX-DiskBasic」になるはずなのですが元もままだし、当然アクセスもできませんでした。買ってあったDiskのソフトも、1度くらいは動作がおかしいながら立ち上がったことがあったものの、ほとんど立ち上がりませんでした。

 買ったお店に連絡して新品と交換してもらったりしたのですが結局使えず、差額を払ってこれまたPanasonicのワープロプリンタと交換してもらうという悲しい結果となりました。我が家で最初のFDDとなるはずだったのですがテープに逆戻り。そのすぐ後に弟がX1Fに5inchFDDを付けたため、「我が家で最初」も取られてしまいました。さらに買ってあったFDDソフトである、T&E SOFTのグラフィック・スプライトエディタと生メディア3枚を友達に安く買いたたかれてしまいました。

 FDDの代わりに買うことになってしまったワープロプリンタですが、こちらは不安いっぱいだった私を横目に一発であっさりとなんの問題もなく使えました。

 MSX2には、いわゆるセントロニクス仕様と呼ばれるプリンタ端子が付いていました。PC-6001mkIIの時に買ったエプソンのプリンタはMSXは対応機種になかったと思うのですが、テキストの印字には問題がなかったのでプログラムリストの印字に使っていました。

 このワープロプリンタは、カートリッジに第1水準漢字ROMとワープロソフトが入っていて、そこから直接ケーブルがのびてプリンタにつながっていました。しかし他のソフトから使えないなんてことはもちろんなくて、その互換性のためでしょうか、細いケーブルでプリンタ端子ともつなげるようになっていました。カートリッジは普通の漢字ROMとしても使えるので、だいぶ後の話になりますが、多少あった「要漢字ROM」なソフトも問題なくなり、MSXで使う分には良いプリンタセットでした。

 プリンタ部分は普通の熱転写プリンタで、1色しか印字できませんでしたが、インクリボンは黒のほかにも何色か用意されていました。一応カラーのリボンを買ってあったので、いずれ多色刷りに挑戦しようなんて考えていたのですが、結局黒以外のリボンは使わずじまいだったと思います。

 ワープロソフトそのものはあまり使った記憶がありません。当時の高校生なんて、そんなワープロを使う用事なんてないに等しかったと思います。PC-6001mkIIのワープロよりずっと実用になるワープロだったというのは、もちろん確かなのですが。




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