色の魔術師

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 PC-6001mkIIでマシン語を少しかじったのですが、MSX2ではまたBasicに戻ってしまいました。初めて作ったのは「台形の面積を求めるプログラム」だったと思います。上底と下底と高さを入力すると面積が出る、ただそれだけのものです。なぜ「台形」なのかと言えば、あのMZ-2000と衝撃の出会いの後、ナイコンのままノートに動くかどうかわからないまま、プログラムを書いていた時期がありました。そのころちょうど台形の面積を求める公式を習った所だったため、私が初めて書いた記念すべきプログラムは、台形の面積を求めるプログラムになりました。それ以来、何かで最初なプログラムはだいたいこの台形の面積を求めるプログラムにしているのです。一種の儀式ですね。

 その後スプライトを使う簡単なゲームのようなものを作りました。MSX2にはスプライトどうしが重なると割り込みが発生してわかるようになっていて、Basicにもそのための命令がありました。しかしどのスプライトとどのスプライトが重なったかを教えてくれるわけではなかったので、この最初に作ったサンプルのように画面上にスプライトが4枚しかないとかならBasicでも何とかなるのですが、それ以上になるととても扱いきれず、それ以後この機能を使うことはありませんでした。

 中学生の時つくば科学万博がありました。3回ほど見に行ったのですが、その中の富士通のパビリオンでは赤青メガネを使った立体映像を見せてくれました。その後パソコンでこの立体映像を描けないものかとPC-6001mkIIで挑戦したことがありました。しかしその貧弱なグラフィック能力では、というより赤青メガネのフィルターにあった色が出せず、うまく行きませんでした。

 MSX2を買って、256色出せるMSX2ならできるんではないかと再び挑戦しました。今度はメガネにあった色は何とか出せる様だということは確認できました。そこでMSX2のインタレースモードを使って、右目用の絵と左目用の絵を表示させて、立体的に見せるプログラムを作成した、つもりでした。しかしどうしても、いくらいろいろ調整してみても、立体的には見えませんでした。ちなみにインタレースモードというのは、2画面使い、片方の画面を半ドット縦にずらし、60分の1秒ごとに高速に2画面の表示を繰り返すことで、お互いにラスターの隙間を埋めるような感じで表示させ、見た目の縦の解像度を増やす機能です。実際テレビはこのような感じで表示しているのですが、パソコンの画面のようにドットごとのコントラストの違いが大きい画像では、結構ちらついて見えてしまいます。それでもこのモードを使ったワープロソフトがSONYから出ていたりしました。

 話を戻しますが、なぜ立体に見えないんだろうと言うことで、立体的に見えるパンフレットを、メガネを付けたりはずしたりしながら良く研究してみました。私は、赤いフィルタで赤い映像が見えなくなり、青いフィルタで青い映像が見なくなって、左右の目に違う映像が入って立体的に見えるのだと理解していました。しかしこのパンフレットを見る限りその逆で、赤いフィルタで青い映像が見えなくなり、青いフィルタで赤い映像が見えなくなっているようでした。どうしてそうなるのかが全く理解できず、また、これをふまえてMSX2の画面の赤と青を取り替えてみたりしましたが、結局立体には見えませんでした。立体に見えたら3Dペイントツールを作ろうと考えていただけに、残念でした。

 またある日、適当なスプライトエディタが欲しかったのでBasicで作っていました。この当時セーブはもちろんテープに行っており、データレコーダはPC-6001の時から使っているNECのを使っていました。しかしこの日、作ったプログラムをセーブしようとしたのにデータレコーダがうまく動きませんでした。5年くらい使っていましたから「ついに寿命か!?」と思いましたがしかし、セーブしないとせっかく作ったプログラムが消えてしまいます。そこで急遽友達に電話をし「データレコーダ貸してぇ」。友達の家までデータレコーダを借りに行き、何とかその場をしのぎました。その後このNECのデータレコーダはなぜか復活し、HB-F1XDを買ってフロッピーがメインになるまでは何とか持ちました。




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