その旋律に
心打たれて 

(5/6)

 何曲か作って、そこそこかなと思えた物はベーマガに投稿してみたりしました。友達にそのことを話すと聞きたいというのでディスクを渡すことになりました。どうせだからということで、そのディスクはMSX-DOSが起動してからBasicのタイトルのプログラムが立ち上がるようにしました。これは、FD版のゲームの中に若干MSX-DOSの起動画面を見せてそこから立ち上がる物があったため、それっぽい雰囲気を出すためです。しかし実際にはAUTOEXEC.BATでいきなりBasicへ飛んでしまうのでかっこだけの全く無駄な処理でした。タイトルもパレットを駆使してちょっとこった物を作ってみたりしました。友達2人ほどにこのディスクを渡したのですが、タイトルがかなり評判が良く、また、最初のMSX-DOSの画面は何か最初にDOSで処理を行っていると思ってもらえたらしくて、私の思惑通りという感じでした。

 その後私が何か音楽のプログラムを作る度にこのディスクに加えて友達に渡すようになりました。また音楽プログラム作成支援のプログラムを作って入れたり、文章を書いてそれを画面で見れるようにもしたので、ちょっとした不定期のディスクマガジンのようになってました。ただし漢字が使えないのでかなり読みにくかったと思います。このときに読みやすいように文章に句読点を多く入れるようにしていたのですが、それ以来私は文章を書くとひどく多くの句読点を入れる癖が付いてしまいました。

 私の影響を受けてか、友達も音楽のプログラムを作ったり、雑誌に載っていた物を打ち込んだりしたので、最終的にはかなりの曲数になったと思います。

 私は初めは全部Basicで作っていたのですが、マシン語を使用してPSGでドラムを表現するプログラムを作成して、それを使ったゲームミュージックのプログラムを作成しました。このマシン語プログラムは、PSGでPSGのノイズの制御やポルタメント(だっけ?音程が連続的に下がっていくの)を行うための物です。これを実現するために私は垂直帰線割り込みを使いましたが、いまだにこういう時に使う割り込みはもっと適切なのがあったんではないかと思ってます。MSXにタイマー割り込みがあったのかどうかというのは知らないのですが。

 この音楽プログラムはMMLの方もかなり力を入れて作ったためか、その甲斐あってベーマガに掲載されました。実は私のベーマガ初掲載はこのゲームミュージックのプログラムだったりします。初掲載で、しかもマシン語プログラム付き。コメントは確かGORRYさんだったと思うのですが、「ちゃんとめがてんしてる」という感じでどちらかと言えばお褒めのお言葉だったし、友人達も喜んでくれたので私はもううれしくて天にも昇る気持ちでした。ほんとに。

 その後、ゲームミュージックのプログラムだけを集めたベーマガの別冊みたいな本にも何本か掲載されました。こちらに付いていたコメントはいまいちだったのですが、載ったということは最低水準には達しているということで納得してました。本誌に載った物よりも前に投稿した物でしたし。

 素人な自分にもベーマガに掲載されるような音楽のプログラムが作れた理由として、MSX-MUSICの中途半端な性能のおかげがあると思います。

 まず音色にすごく制限がありました。自由に使えるのは初めから入っている音色の中の15色だけで、ユーザーが定義できるのも1色だけ。自由に使える15色以外は、初めから定義されている制限付きの音色とユーザー定義の音色の中から1度に1つしか使えませんでした。そのため逆に、ユーザー定義の音色をうまく作れない自分でも、それほど遜色ないものが作れたのだと思います。

 またFMが9声もあり、普通はFM6声+リズム3声のモードでやるのですが、同時発声和音数が多いために素人でも比較的楽譜どおりに作ることができて作りやすかったと思います。

 もちろんすごい人には全然かなわないのですが、比較的最低水準をクリアしやすかったのではないかと思います。

 音楽と言えば、MSXにもMIDIカートリッジが出ました。しかし、ナムコがMIDI対応でドラゴンスピリットを出すようなことを言っていたのに結局出ず、おそらくツールが1〜2個くらい出ただけで終わってしまったのではないかと思います。

 また、コナミのスナッチャーに付いていたSCCカートリッジを利用する音源ドライバもベーマガに発表されました。しかし当然のようにプログラムが大変長かったためか、それ用の音楽プログラムはほとんど掲載されなかったように思います。




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